糖尿病や甲状腺の病気は、すぐに命にかかわることはまれな疾患ですが、完治することが少なく、長年病気と上手につきあい管理していくことがとても重要です。患者様の伴走者となり、健康でより良い生活を共にめざしていきたいと考えております。
糖尿病はインスリンの欠乏や作用不足のために血液中の血糖値(ブドウ糖の濃度)が高くなりすぎてしまう病気です。
著しい高血糖になると、口渇・多飲・多尿・頻尿・体重減少・全身倦怠感・免疫力の低下・傷の治りにくさなどの症状が出ますが、初期で軽症の時にはほとんどの方は自覚症状がありません。これらの症状に当てはまる方はもちろん、自覚症状がなくとも健診で糖尿病の予備軍と言われた、家族に糖尿病の方がいる、最近太ってきて心配だという方なども、まずは採血検査を行うことから始まります。当院では即日検査の結果を説明できます。早期発見、早期治療につなげていきましょう。
高血糖の状態が数年間続くと全身の血管に障害がおこり合併症が引き起こされます。代表的な合併症としては
があり、発症すると非常に生活が不便になってしまいます。また心筋梗塞、脳梗塞、足えそなどの病気にもかかりやすく、これらの病気は直接命に関わるものばかりです。また最近では癌や認知症にもかかりやすいとの研究報告もあります。
合併症の進行を予防するためには、約2ヶ月間の血糖値を反映するHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)をまずは7%未満に下げることが重要といわれています。
食事療法、運動療法、薬物療法(内服・注射)が治療の3本柱です。
糖尿病のなかには、肥満など生活習慣が大きくかかわるタイプ、インスリンを作り出す膵β細胞が破壊されインスリン注射が不可欠となるタイプ、膵臓の病気が原因で発症するタイプ、薬剤の影響で高血糖となるタイプ、妊娠糖尿病などいろいろな種類があります。それぞれの原因や病気の状態により治療法も大きく異なります。
しかしどの病型も食事・運動療法の知識は重要です。生活習慣を変えていくのはとても大変ですが、食事の最初に野菜を食べる、間食やジュースを控える(またはなるべくカロリーの低いものを選ぶ)、ラーメンライスなどめん類とごはんのセットは選ばないようにする、など少しずつ意識するだけでも効果があります。運動療法は、空腹時よりも、食後(特に30〜60分)の方が効果もあり低血糖もおこし難く安全です。まずは無理のない範囲で散歩やラジオ体操など軽い運動から始めてみてください(合併症の進行がある方は激しい運動は避けなければいけない場合があります。担当医に必ずご相談ください)。
糖尿病の薬物治療は近年もっとも進歩している分野の一つです。さまざまなタイプの飲み薬や注射が選べるようになりました。入院治療が難しい方には、外来でのインスリン・GLP1製剤導入や自己血糖測定指導も行っております。患者様の年齢や病態、生活スタイルに合わせて適切な治療方法を選択し、またそれを継続していけるようスタッフ一同でサポートしていきます。
また最後に、糖尿病は自覚症状が出にくいことから、治療を中断をしてしまうことが非常に多い病気と言われています。一度頑張って生活習慣を改善して、採血結果が良くなったとしても、糖尿病は完全に治癒することがありません。年齢とともにインスリンを分泌する力が弱くなったり、運動量が減ってきたり、代謝が落ちてきたりすることで、知らない間に血糖値が再び上がってきてしまいます。飲み薬などをやめることができたとしても、少なくとも1年に1回程度は採血検査を受けるようにしてください。
甲状腺はのどぼとけの下方にあり、気管の前面にはりつくように存在する蝶の形をした臓器です。血液中に甲状腺ホルモンを分泌し、新陳代謝の調整を行う重要な臓器です。甲状腺ホルモンは生きていくのに必須のホルモンです。
甲状腺の病気は大きく二つにわけることができます。
@ 甲状腺ホルモンの量に異常をきたす病気
(例 バセドウ病、甲状腺機能低下症など)
A 甲状腺が腫れる病気
(例 甲状腺腫瘍〈良性・悪性〉、甲状腺の炎症など)
診断のためには、採血での甲状腺ホルモン測定と甲状腺超音波検査が必要です。
甲状腺ホルモンの採血は、一般の健診項目には含まれていないことが多く、甲状腺の病気を疑って検査をおこなわなければ、なかなか発見することができません。
当院へは「首の腫れに気付いた」「検査で甲状腺の異常を指摘された」「甲状腺機能異常の症状にあてはまる気がする」「家族が甲状腺の病気で遺伝が心配」「不妊症の治療中に甲状腺の検査を受けるようにいわれた」等のきっかけで受診やご紹介をいただくことが多くございます。まずは、甲状腺の病気を疑い検査を行うことで、早期に治療につなげていくことができます。女性に多い病気ですが、男性にもおこります。お心当たりのある方はお気軽にご相談ください。
甲状腺ホルモン過剰による症状 | 甲状腺ホルモン不足による症状 |
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よく食べているのにやせてきた | あまり食べていないのに体重が増えむくむ |
とても暑がりになった | 冷え性がひどくなった |
急に汗っかきになった | 汗をかかず皮膚が乾燥しやすい |
急にコレステロール値が低下した | 高コレステロール血症 |
体温が上昇した | 体温が低い |
脈が速くなり動悸・息切れがする | 脈がとてもゆっくり(脈拍50以下) |
イライラし落ち着きがなく手が震える | 疲れやすく、無気力、傾眠傾向 |
便の回数がふえ下痢をしやすくなった | 便秘がひどくなった |
月経不順 | 月経不順 |
骨がもろくなる、眼球突出 | 声が低くかれやすくなった、脱毛 |
医療法人 やまうち内科
院長 山内雄一郎
副院長 伊藤雅子
[診療科目] 内科・糖尿病・内分泌内科
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